節足動物は見た目がグロテスクで、よく似た姿をしています。
ムカデに毒があるのはよく知られていますが、それを判別するにはよく観察しなければいけませんし、時には画像で判断する必要もあります。
実はヤスデにも毒性があり、臭いニオイを発したら要注意!幼虫には早めの対処が必要です。
ヤスデの画像、毒や臭い、幼虫の実態をまとめました。
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ヤスデの毒性、あり?なし?
出典:http://ju-support.jp/
ヤスデの身体は円柱型で、頭部はまるく、頭部の先端内側には一対の触角があります。
胴体上方の表面は硬い殻に覆われていますが、ムカデのようなアゴは持っていません。
とにかく動きが遅く、何かに触れたり刺激されると、ダンゴムシのようにまるまって防御姿勢をとります。
主に腐葉土などを餌にする、腐食植物食です。
ムカデのような毒牙はありませんが、実は毒性があります!
ヤスデの体節の側面に、臭腺と呼ばれる器官が備わっており、踏まれたり外的刺激を受けると、この毒腺から、気体や液体のきつい臭いを持った臭液を分泌します。
この分泌物の成分は、青酸やヨードです。
皮膚に付着すると痛みを感じ、目に入ってしまうと結膜炎などを引き起こす原因になります。
臭いも正露丸のようなニオイでとてもきつく、手につくとなかなか取れません。
しかし、ヤスデはムカデと違って噛んで攻撃するようなことはしません。
臭液は、あくまで外敵への撃退のために分泌しますので、見つけても触らずそっとしておくのがいいですよ。
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ヤスデの害の原因はその一生にあり?
ヤスデは、毎年秋に卵を産みつけます。
卵は孵化すると幼虫となって土中で成長していきます。
出典:http://www.385eco.net/
脱皮を繰り返すごとに体節を増やし、大きくなっていきます。
冬を越して6~7月頃になると、成虫となって地面にも現れるようになります。
ヤスデのほとんどは、こうした一年サイクルを繰り返しますが、「キシャヤスデ」という種は、少し異なっています。
キシャヤスデの場合、成虫は落ち葉の下などで越冬し、初夏に1000個ほどの卵を産んで一生を終えます。
孵化した卵は、幼虫のまま7年間土中で過ごします。
まるでセミのようですね。
脱皮は一年に一回だけです。
そして8年目になると、一斉に成虫となって地表に姿を現わすのです。
出典:http://www.westatic.com/
1976年秋、山梨と長野の県境にある小海線沿線で、ヤスデが大発生しました。
線路上は、轢きつぶされたヤスデの体液で覆われ、急勾配が続く難路であったこの区間は、列車がスリップして立ち往生するという事故が相次ぎました。
「キシャヤスデ」の名は、列車を立ち往生させるほど大発生したことに由来するそうです。
出典:http://blog-imgs-18.fc2.com/
幼虫と成虫、食べるものが違う!?
ヤスデは、食べ物が発育段階で異なることに特徴があります。
土壌中で生活する幼虫は、土壌中の腐植物をエサとし、脱皮を繰り返すごとに大きく成長し、土壌中に穴を掘って通気性や排水性を良くしています。
脱皮する時には、土壌を利用して脱皮室をつくります。
ヤスデの幼虫が生活できるには、そのような土壌構造が壊れたりしない、安定した環境が必要なのです。
成虫になると、落ち葉や枯れ草をたくさん食べ、必要な栄養分を確保します。
それとともに糞として排泄された落ち葉や枯れ草も食べます。
それは、排泄された糞中で微生物が増加し、その微生物たちが分解したものや微生物の酵素を食べることで、落ち葉や枯れ草を直接食べた時には得られなかった栄養分を取ることができるからです。
このように、糞中や土壌中の微生物の働きが促され、動物の体外でも動物の腸内のような働きが活発に行われています。
見た目の悪さや体液の臭いなど、不快害虫として扱われているヤスデですが、作物や植物を育てる人にとっては、多くの有機物を土壌に還元してくれる益虫でもあるのです。