今年の夏、海に脚をつけてじっとしていたら、知らぬ間に脚が血まみれになったという事例が起きました。脚を食べたのは、主に魚に寄生するといわれる「ウオジラミ」なんだとか!?魚に寄生するウオジラミが人間を噛んで食べるのでしょうか?ここでは、海で脚が血まみれになった事例を取り上げ、ウオジラミは人間を噛むのかについてまとめました。
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ウオジラミとは?
ウオジラミは扁平な形状をしている寄生虫で、腹部前方には一対の吸盤を持っており、この吸盤で魚に取り付きます。
ウオジラミのメスは、一生のうちに10回程度産卵をし、一度の産卵で30~200個の卵を産みます。
0.4×0.25mmほどの卵をゼラチンのような物質で包み込み、水槽のガラス面や石などにしっかりと付着させます。
ウオジラミの発育適水温は、15~30℃と言われており、水温が高ければ高いほど、早く成長します。
一般的には、11月ごろ産卵された卵の場合、水温が適水温より低くなるため、翌年の4月ごろに卵は孵化します。
孵化した幼生は、直ちに魚を求めて水中を遊泳します。
魚に寄生すると、そこで脱皮を繰り返し、成虫へと成長していきます。
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ウオジラミが寄生したら・・・
ウオジラミ症とは、ウオジラミが体表に寄生するために起こる病気です。
ウオジラミはあごを魚体に刺し込ませ、魚の血液を吸います。
すると、寄生された体表は、局所的に充血したり粘膜が剥がれて肌荒れを起こしたりします。
寄生初期は、魚のヒレやエラに寄生する事が多いので、体部につくことはほとんどありません。
ウオジラミが寄生した魚は、この寄生虫を落とそうとして、体を石や水槽の壁などにこすり付けます。
進行すると、全身にウオジラミが寄生し、魚は吸血によって衰弱死するか、過度のストレスが原因で死んでしまうことがあります。
ウオジラミは、新たな魚を追加したり、外部から持ち込むことによって、また、大型魚や古代魚の場合はエサの小赤によって持ち込まれることが多いようです。
ウオジラミは人間を噛むのか!?
2017年8月7日、血まみれの脚の写真が投稿され、オーストラリア中に衝撃が走りました。
被害にあったのは、メルボルン在住の16歳の少年です。
彼が横たわる病院のベッドで撮られた写真には、脚下が傷だらけで、流れ出る血で真っ赤に染まっている衝撃的な場面が写っていました。
少年は、サッカーをしたあと、ただ火照った筋肉を冷やそうと海にしばらくじっと立っていたそうです。
やがて脚の感覚が麻痺してきたそうですが、単に海水が冷たいためだと思っていたそうです。
特別痛みもなかったそうで、まさか、海に脚をつけていただけで、知らぬ間に何者かによって脚を食われ、血まみれになっているなんて思いもよらなかったことでしょう。
少年を診察した医師は、寄生虫の検査をして抗生剤を投与し、包帯を巻いて処置しました。
一体少年の脚を食べたのは何だったのでしょうか?
そこで一番にやり玉に上がったのが、ウオジラミです。
ウオジラミは普通、魚に寄生しますが、世界中の海に生息しており、時には人間の水着の中にも入り込むようです。
しかし、ウオジラミが人間を噛むという事実は確認されておらず、彼の脚を食べたのは、ウオジラミとよく混同されてしまう端脚類だったようです。
端脚類には気を付けるべし!
端脚類は、ウオジラミと同じく甲殻類の仲間です。
1万種類以上いると言われており、熱帯から極地まで世界中に分布しています。
その大部分が海に生息しており、体長は数mmから数10cmまで、種類によってさまざまです。
食べるものも種類によって異なっており、プランクトンや生物の死骸、他の生物に寄生するものも多いです。
ほとんどのものは植物食ですが、なかには腐った肉を食べるものもいて、とりわけ血液が好きなものも存在するようです。
16歳の少年が脚を食べられた原因は、彼が海に脚をつける前に、すでに端脚類が魚を食べており、その魚の死骸の近くに彼が立ってしまっていたために被害にあったのではないかと推測されています。
彼の脚の怪我がひどくなった原因は、筋肉の疲れを癒やすためにあえてじっと立ち続けていたからで、もしじっとせずに動き回っていたら、このようなことにはならなかったかもしれません。
結局、ウオジラミだったのか端脚類だったのか真相は分からなかったようです。
このような被害にあわないようにするには、海に入る際には、ウェットスーツやマリンシューズを装着し、長い間、海の中でじっとしていることのないようにしましょう。
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