日本の大事な食糧であるお米に大きなダメージを与える害虫がウンカです。何らかの原因で大量発生し、大打撃を与えますが、実はその生態はほとんど知られておらず、多種のため、研究もあまりされていないようです。多数の種を持つウンカ、その幼虫の姿も違うのでしょうか?ここでは、ウンカが大量発生する原因と幼虫の画像についてまとめました。
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ウンカは海外からやってくる!?
ウンカという虫は、イネの害虫となる体長5mmほどの昆虫全般を指します。
ウンカの成虫・幼虫とも、イネの茎や葉にストロー状の口針を刺して汁を吸います。
ウンカの名を持つ分類群は非常に多いため、種類によって色・形はさまざまで、イネを枯らしたり、イネにウイルス病をうつしたりなど、生態においても種によって異なります。
ウンカは、日本の冬を越えることができないため、主に海外から飛来してきます。
主な種類は、セジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカの3種で、大きさや形はよく似ていますが、生息地域や増殖法などに違いがあります。
セジロウンカとトビイロウンカは、ベトナム北部や中国最南端の海南島の付近であれば、周年を通じて発生することができます。
これらの地域で越冬し、1月初めに移植される冬春作のイネにおいて、2~3世代が増殖し、冬春作のイネの収穫期にあたる5月頃になると、ベトナム北部などから飛び立ち、季節風に乗って中国南部に移動してきます。
この頃の中国南部は、イネの一期作目が生育期に入っており、1~2世代がここで増殖します。
中国南部のイネが収穫期を迎える6月下旬から7月になると、梅雨前線に沿って発達する下層ジェット気流に乗って、日本にやってくるのです。
ヒメトビウンカは、一般的に長距離移動する習性はありません。
ヒメトビウンカは温帯性のウンカで、中国・台湾・韓国などの東アジア一帯にかけて分布しています。
イネ以外にも、小麦やイネ科雑草に生息するウンカです。
平成17年頃から、ウンカの発生源地であるベトナムや中国では、ウンカの大発生が起こっています。
これらの国で発生したウンカは日本にもやってくるため、他人事では済まされません。
ウンカの大発生の主な原因は、ベトナムや中国などで栽培されるイネが、美味しいお米を多く収穫できるよう異種交配により品種改良されたことで、ウンカが増殖しやすい品種に変わったことにあるようです。
また、ウンカに効果の高い苗箱施用薬剤が開発され、広く使われるようになった平成以降、ウンカ被害は減少していました。
しかし、平成17年頃から、これらの苗箱施用薬剤に対して抵抗性を持つようになったウンカの出現により、近年では、西日本におけるウンカ被害が深刻となっています。
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ウンカの最新動向とは?
ベトナム北部や中国南部では、ウンカに対する抵抗性品種への切り替えはそれほど進んでいないようですので、日本におけるウンカ被害の状況も続く可能性があります。
また、長距離移動の習性がないとされていたヒメトビウンカですが、平成20年6月、九州の西海岸地域や中国地方の日本海側を中心に、ヒメトビウンカが原因でイネ縞葉枯病が多発しました。
イネ縞葉枯病は、平成12年頃から、中国・江蘇省を中心とした地域で多発しており、日本における飛来源は、中国・江蘇省のあたりではないかと推定されています。
中国・江蘇省では、6月初め頃に小麦が収穫されます。
この麦刈りによって、ヒメトビウンカが飛び立ち、低気圧にともなう強い風に乗って日本に飛んできたと考えられています。
ヒメトビウンカとイネ縞葉枯病に関しては、近年、関東から近畿地方にかけても一部の地域で多発しており、温暖化の影響も考えられます。
ヒメトビウンカについても、対策の重要性が高くなっています。
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ウンカの幼虫、種類を画像とともに紹介
ウンカは、「カメムシ目ヨコバイ亜目の一部のグループ」です。
アブラムシやキジラミ、カイガラムシ、セミ以外で、成虫の体長が5mm程のものを指し、そのような範囲の昆虫全般を言います。
そのため、この仲間にはウンカの名を持つ分類群が非常に多く、その姿・形も非常に多彩です。
ここでは、ウンカの幼虫の画像をいくつかご紹介します。
ウチワコガシラウンカ幼虫
ミドリグンバイウンカ幼虫
トビイロウンカ幼虫
カタビロクサビウンカ幼虫
小さなセミのような姿はどれもよく似ていますが、「ウンカ」とひとくくりにできないほど、多彩な姿に驚きますね。