ネッタイシマカとは、一般にヤブカと呼ばれる吸血性の蚊の一種で、吸血する際に出す唾液によって黄熱・デング熱・ジカ熱などの感染症を媒介する特徴があります。ヤブカなら日本にもいるのでは!?日本にもこれらの感染症が蔓延する恐れはあるのでしょうか。ネッタイシマカは日本にいないのか、その特徴や媒介する感染症についてまとめました。
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ネッタイシマカの特徴
ネッタイシマカは約3mm、黒褐色をしており、中胸背中央に2本の縦すじがあるのが特徴です。
側方には、前方で丸くまがっているハッキリとした銀白色斑があります。
成虫の飛行範囲は100m程度で、蚊の中では比較的狭く、人家周辺で活動しています。
屋外を飛び回り、屋内に侵入してきて人間を吸血します。
気温27~30°C、湿度70~90%が最も活動し、吸血も気温が21°C以上になる昼間に行われます。
吸血すると5~7日後に1回50~120個の卵を産み、卵は3日で孵化します。
卵は乾燥に強く、乾燥して半年経っていても水に触れると再び孵化することができます。
幼虫は、人家周辺の桶や水槽、バケツから、空き缶、竹の切り株、古タイヤなど、あらゆる小さな水溜まりで生育することができます。
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ネッタイシマカは日本にいる?
ネッタイシマカは、全世界の熱帯・亜熱帯地域に分布しています。
日本においては、琉球諸島と小笠原諸島での分布が記録されており、1944年、天草諸島で異常発生しましたが、1952年までに駆除されました。
1970年以降は天草で採取された事例はなく、以後は国内でネッタイシマカが定着しているということは確認されていません。
沖縄においても、20世紀初頭に確認されて以後いつの間にか姿を消しています。
とはいえ、2002年にネッタイシマカは、日本生態学会により日本の侵略的外来種ワースト100に選定されました。
国外から侵入定着する危険があるためです。
ネッタイシマカが媒介する感染症
ネッタイシマカが日本の侵略的外来種ワースト100に選定されるほど恐れられている理由は、ネッタイシマカが黄熱、デング熱などのウイルス性の感染症を媒介する蚊であるためです。
暑くて水辺を好む蚊は、37属3266種類とたくさんいます。
そのうち約75%は、熱帯に生息しており、日本においては約100種類の蚊が生息しています。
現在、日本でデング熱などの感染症が広がるとすれば、海外からそのウィルスを持って日本に帰国した人が発症し、日本の蚊がその人を吸血して別の人を刺す際に出す唾液で広がっていくと考えられます。
現在、日本でよく見られる蚊の種類は「アカイエカ」という蚊です。
主に、就寝中に現れてプ~ンと羽を鳴らし吸血する蚊です。
また、最近都心のオフィスやトイレなどで増加しているのが、アカイエカの仲間の「チカイエカ」です。
灰色っぽい色をしており、秋や冬でも活動するため厄介な蚊です。
そして、日中に公園の草むらや竹やぶに行くと見られる黒と白の縞模様が特徴の蚊が「ヒトスジシマカ」です。
日本でヤブカと呼ばれている蚊です。
まさしく、このヒトスジシマカはネッタイシマカと同じヤブカの一種で、日本でデング熱などの感染症が広がるとすれば一番の原因となる蚊になるわけです。
ただ、地球温暖化の影響により地球全体が熱帯化していますので、日本に生息する蚊の種類もこれからは増加してくることが予測されます。