カミツキガメとワニガメ、どちらも日本ではペットとして輸入されていたカメです。最近では、ペットであったカミツキガメが野外へ放たれ、日本での繁殖・定着が問題視されています。さて、カミツキガメとワニガメの噛む強さに違いはあるのでしょうか?ここでは、カミツキガメとワニガメの違いについて、噛む強さはどちらが上なのかまとめました。
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ワニガメとは?
ワニガメは、カメ目カミツキガメ科ワニガメ属に分類されるカメです。
アメリカ南部に生息する固有種で、甲長80㎝、体重113kgにまで達する大型種です。
主にやや水深のある河川や湖、水路に生息し、周囲にある池沼や湿原にも生息しています。
底が泥で、水生植物が繁茂した環境を好みます。
産卵時のメスを除き、生涯のうち陸に上がることはほとんどありません。
ワニガメの口の中の下あご側には、イトミミズのような構造物があり、それを使って餌となる生き物をおびき寄せます。
顎の力は非常に強く、魚や鳥、哺乳類や甲殻類など、口に収まる生き物であればカメであっても甲羅ごと食べることができます。
一方で、カシ類やシイ類の果実、カキやヤシなどの植物質なども食べます。
動物食傾向が強いですが、時期によっては植物食傾向が強くなるものもいるようです。
ワニガメと言えば「ガメラ」のモデルとなったことでも有名です。
また、水面上に出た3本の背甲キールが、ワニが浮かんでいるように見えることから、「アリゲーター・スナッパー」と呼ばれるようになりました。
開発により、生息地が破壊され水質が汚染されたこと、また、食用やペット目的の乱獲などにより、ワニガメの生息数は現在減少し絶滅が危惧されています。
日本では、ワニガメが定着した場合、日本の在来生物に影響を与えるおそれがあるとして、2005年に要注意外来生物に指定されました。
2015年には、環境省の生態系被害防止外来種リストにおける定着予防外来種のうち、その他の定着予防外来種に指定されています。
日本においても、ペットとして飼育される事もあり、ワニガメが輸入されていました。
2000年には改正動物愛護法によって特定動物に指定され、飼育するには地方自治体の許可が必要となりました。
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カミツキガメとは?
カミツキガメもまた、カメ目カミツキガメ科に属するカミツキガメ属分類のカメです。
北米から南米北部に生息し、甲長約40㎝ほど、カミツキガメ科では最少です。
底が泥や砂で、水生植物が繁茂した淡水域の水場を好みます。
カミツキガメもまた、産卵以外で陸に上がることはほとんどありません。
食性は雑食で、昆虫や甲殻類、鳥類や哺乳類、植物の葉や花、果実、藻類など、水底を徘徊して食物を探します。
成長したカミツキガメはとにかく凶暴で、動きもとてもすばやいです。
噛む力が強い上、首が長くて柔軟なので、一瞬で首を甲羅の上まで大きく反らして伸ばし、噛み付いてきます。
とはいえ、攻撃性が強くなるのは陸上にいるときだけで、これは陸上では警戒心が強くなるためです。
陸上では警戒心を強め、口を大きくあけて四肢を踏ん張り、甲羅を持ち上げて威嚇姿勢をとります。
日本においてカミツキガメは、現在、印旛沼水系で繁殖が確認されています。
日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に指定されており、印旛沼水系だけでなく他の地域でも発見されています。
昭和初期に展示用として、以後ペット用として大量に日本へ輸入され、のちに野外に放されたものが繁殖していったと考えられています。
2005年には特定外来生物に指定されたため、輸入、飼育、販売、譲渡、遺棄などが禁止されています。
大型で食性が幅広いため、日本在来種への影響が懸念されている他、攻撃性の強さから咬傷被害が想定されることを理由に、捕獲したカミツキガメは、甲羅の長さが20cm以下のものを除いて全て冷凍処分されています。
カミツキガメとワニガメ、どっちが強い?
性格から比較すると、カミツキガメの方が攻撃性が強く、ワニガメの方は神経質だと言われています。
しかし、一旦攻撃を開始すると強いのはワニガメです。
体の大きさで言えば、最大甲長50cm程度のカミツキガメに対し、ワニガメは最大甲長80cm、体重も100kgを超えます。
当然ワニガメの方が顎も大きいので、噛む力はワニガメの方が強いです。
人間の指を食いちぎったり、カメを甲羅ごと捕食することもできます。
その点、カミツキガメは攻撃性ほどの顎の力はありません。
一般的なカメよりは強いですが、ワニガメのように人間の指を食いちぎったり、カメを甲羅ごと捕食することはできません。
ワニガメの天敵は、人間以外いないと言われています。
一方カミツキガメの天敵は、ワニや大型のヘビ、肉食性の大型鳥類、哺乳類です。
しかし、日本においてカミツキガメの天敵となるものはほとんど存在していないため、日本のカミツキガメの天敵は人間だけになります。
個体数を年々減少させているワニガメと適応能力に優れたカミツキガメ、力の強さでいえばワニガメが勝りますが、生存能力の高さでの勝負はカミツキガメに分があるようです。